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NICTのうるう秒の説明会に行ってきた。

NICTうるう秒の説明会に行ってきた。

 「うるう秒」実施に関する説明会のお知らせ
 http://www.nict.go.jp/press/2012/04/11-1.html

 文章は苦手だが、ここは文章にするしかないので、
 私の文章の伝わり方については心配しています。

 まずはじめに、会社名欄に堂々と「個人」と書いたにも関わらず、
 受け入れていただいたNICTさんに感謝します。

 広報の方が開始前に、「記者発表」と言ってた通り、記者が多かった。
 正しい運用を目的をしているということだったが、
 全体的に、「協定世界時(UTC)の言う通りにやってますよ。」という印象だった。

■私が聞きたかったことを以下にまとめます。
 ()内は私が受けた印象。
 また、技術的な補足の項は私の意見。

□Kernel上は1月か7月しか検証の機会が無い。
 
Q.なぜ発表は6ヶ月前(平成24年1月31日)なのか?

 総務省:「うるう秒」挿入のお知らせ
 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin03_02000031.html

A.地球の自転の微妙な変化について、計算が困難な為
 天文時の測定(VLBI)誤差を原子時計に反映している。

 (VLBIの問題でNICTとは関係無い)

□技術的な補足

 国土交通省:地球自転の速さの迅速な提供が可能に
 http://www.gsi.go.jp/kohokocho/kohokocho40215.html

 計算も困難だが、国土交通省の説明の方が回答としては適切。
 「予測値の精度は時間の経過とともに急速に悪くなるため」

□うるう秒を考慮しないシステムについて

 NICTうるう秒の対応
 http://jjy.nict.go.jp/news/leaps.html

 NTP ver3:RFC1305
 http://www.ietf.org/rfc/rfc1305.txt

 NTP ver4:RFC5907
 http://www.ietf.org/rfc/rfc5907.txt

 Q.本当に日常システムに影響は無い?
 A.タイムスタンプの修正に追われたという話は聞いたことはあるが、
  大きな障害の報告は無い。

  また、1秒の誤差が許されないシステムにおいては、
  当日の運用停止等の対策が採られている。
  タイムビジネスの提供各社に問い合わせて欲しい。

  (うるう秒の影響は各システム側で行うことなので関知しない)

□技術的な補足

  ・GPS時刻の場合

   うるう秒前:GPSタイムはUTCよりn秒進んでいます
   うるう秒後:GPSタイムはUTCよりn+1秒進みます

  ・UNIXTIMEの場合

   「2010年6月に改定されたRFCではLeapIndicaterフラグを立てる期間が変わった。
    RFCに完全に従う必要は無いので、古いシステムを考慮した。古いRFCを採用し、
    6/30からLeapIndicatorのフラグを立てる。」

    RFC改定前:6/30から7/1 9:00の解除まで
    RFC改定後:6/1~7/1 9:00の解除まで

□うるう秒を挿入しない連続時間システムについて

 タイムビジネスの多い先進国については前向きに検討している。
 ただし、現行のフォーマットに組み込むか、新しい規格を定義するかでもめている。
 反対意見は、世界標準規格が複数存在するのは混乱の元であることを根拠としている。

 タイムビジネスの経験の無い国に、連続時間システムの必要性を理解してもらうことは難しく、
 2015 WRCで最終決定の見込み

 (連続時間システムを導入した場合、誤差を各システム側で修正すればよいので、
  NICTが提供するNTPサービスとは無関係。)

 (連続時間システムを導入したとしても、
  連続時間システムを採用するクリティカルシステムと、
  時間差をシステム時間に反映するシステムがあればよい為、
  NTPサービス等、NICT側で即時対応する必要は無い)

 (日本としての意見や立場について触れることが無かった)

□技術的な補足

 IBM:【Technical Notes】Linux システムクロックの『うるう秒』調整
 http://www-06.ibm.com/jp/domino01/mkt/cnpages7.nsf/page/default-0019DB89?OpenDocument&TableRow=1.1

 LeapIndicatorフラグ自体は同期のエラー時もフラグが立つ。つまり、
 連続時間だというフラグを立てる余りは無いはず。

 00:警告なし
 01:正のうるう秒
 10:負のうるう秒
 11:サーバとの同期待ち

 未決定の話だからなのか、日本としての意見や立場を言いたくないようだったので、
 新しい規格を推しているのか、日本でもその規格の制定に参加するのかどうかも分からなかった。
 上記の論法で言えばうるう秒対応を謳うシステムの責務は、謳った側にある為、ここでは触れない。
 
 GPSのうるう秒を挿入せず、うるう秒の考慮もしないシステムで、
 表示だけを変えるという考え方がそのまま使えるものなのかどうかの意見も得られなかった。
 ※それは配下システムの問題という姿勢だった為、聞けなかった。

□まとめ

 NTPサービスを提供するNICTとしては、
 新しいRFCでは無く古いシステムを考慮した
 旧RFCに準拠するうるう秒の挿入を実施しますとのこと。

 私が余計な疑問を持った為にネガティブな文章になってしまっただろうか。。。